デュアルブートしているOSの片方をWindows10にアップグレードする方法

 1. はじめに

 ようやく、この(2015年)7月29日に、PCのOSのひとつであるWindowsは、Windows10がリリースされました。アナウンスでは、Windows7かWindows8.1のOSを使用している場合は一年間は無償でアップグレードできるということでした。それで、今回は、このアップグレードに挑戦してみました。

 結論からいうと、Windows10へのアップグレードは、最終的にはできたのですが、まったく問題がないというわけにはいきませんでした。

 ここでは、その手順を思い出しながら、記してみたいとおもいます。

2. 使用したPCの環境と状態

 まず、使っているPCの環境は、IBMのThinkPadR52という、32ビット、メモリ2GBのノートPCで、OSとしてLinux(都合でFedora14をインストールしてある)とWindows8.1のブートを起動時に選べるデュアルブートの構成です。

 ハードディスクのパーテイションは、Linux(Ext4)/Windows(NTFS)/Linux-Swap/Data(FAT32)で、Windows8.1をインストールしてあるパーティションのサイズが約30GBで、そのうち使用済みがデータを含めて約28GBという状態でした。つまり、約2GBしかハードディスクの容量がないという状態であったわけてず。

3. 事前準備

 とにかく、なにはともあれ、ハードディスクに空きをつくらなければいけないと考えました。

 そこで、まず、(1)データのバックアップの実施、(2)不要なメールのデータの消去、(3)不要なプログラムの削除(後でも再インストールできるものはいったん削除しました)、(4)ディスク(C:)のクリーンアップを行ないました。

 ひととおり、これらを実施して、Cドライブの空き容量を約8GBまで増やすことができました。

4. 起動ディスクの作成(予備)

 次に、Windows10のダウンロードのサイトから、「他のPC用にインストールメディアを作成する」を選択して、Windows10のISOイメージをダウンロードし、DVD-Rメディアに焼き付けて起動ディスクを作成しました。この起動ディスクのISOイメージは約3GBでした。

 ディスクを作成後、ダウンロードしたISOファイルはハードディスクから削除しました。この状態で、Cドライブの空きは約8GBでした。

5. アップグレードの開始から終了まで

 続いて、Windows10のダウンロードのサイトから、「このPCを今すぐアップグレードする」を選択して、Windows10のアップグレード作業を開始しました。アップグレードデータのダウンロードから始まって、約1時間、インストールできる直前になって、「Cドライブの空き容量が足りません。」との警告がでてしまいました。

 あと300MB程度のようなので、さらに、不要なデータを削除し、続行したのです。

 その後は、順調にインストールが始まり、途中、数回、再起動しましたが、およそ1時間程度で、Windows10へのアップグレード作業は終了しました。

6. プロダクトキーの抽出

 これで、完了ですが、念のため、ひとまず、Windows Product Key Viewerをインストールして、プロダクトキーを抽出し、先に作成したWindows10のDVD-Rディスクとともに保管しておきます。ここで使用したものは、RJL Software社のfree utilityである「Windows Product Key Viewer v1.07」(→ http://www.rjlsoftware.com)です。

 Windows10の状態にて抽出したプロダクトキーは、アップグレード前のOSのものとは異なっています。必ず、アップグレード終了後のものをチェックしておく必要があります。あとあと、クリーンインストールの時のためにも必要になるからです。

以上が一連のアップグレードの流れになります。

7. PCの起動の確認

 PCの起動は、これまでどおり、マルチブートマネジャー MBM (Multi Boot Manager)を使用し、問題なく行えることを確認しました。

 また、Windows上のソフトのチェックはまだ充分ではありませんが、Firefox、Thunderbird、Dropboxなどはひとまず正常に動作しました。

8. アップグレート時のポイント

 ここでのポイントは、やはり、「WindowsがインストールされているCドライブの空き容量」であって、今回実施した経験から、アップグレードの場合には、空き容量は少なくとも9GBが必要ということがわかりました。

9. ハードディスク(Cドライブ)の空き容量を増やす方法

 Windows10へのアップクレード終了後に、Cドライブの空き容量を増やしたいとおもったので、不要なファイルが残っていないかを調べてみました。

 その結果、次のフォルダ(ディレクトリ)のファイルは、もしも、以前のWindows8.1やwindows7に戻す必要がないときは削除しても良さそうだったので、思い切って削除してみました。

$Windows.~BT
$Windows.~WS
Windows.old

 いずれも、ルートディレクトリにあります。設定によっては、非表示となっているかもしれません。このファイル削除を行うことで3GB以上の空き容量を増やすことができました。ただし、一括でのファイル削除は、不可能らしく、一個ずつ確認しながら削除しなければなりませんでした。また、削除したのはファイルのみであって、ディレクトリ構成は、そのまま残しておきました。

 このファイルを削除した状態で再起動しても、Windows10は正常に起動できることを確認しています。

 空き容量が増えたところに、バックアップしておいたデータファイルをコピーし、ほぼ以前のWindows8.1のときのデータ構成にもどすことができました。

 もしも、Cドライブの空き容量が充分ある場合には、こんな面倒な作業は必要ないかもしれません。ただ、データのバックアップと、プロダクトキーの抽出は、やっておいたほうが良いとおもわれます。

10. クリーンインストールについて

 クリーンインストールについて、述べてみたいとおもいます。
 上に述べた方法で作成したDVD-Rディスクと抽出したプロダクトキーがあれば、後日、同じ機種で、新規にインストールする必要が生じたときに使用できるとのことです。

 実際、筆者も、Windows10のダウンロードのサイトから、「このPCを今すぐアップグレードする」という作業手順の前に、「他のPC用にインストールメディアを作成する」を選択して作成したDVD-Rから、クリーンインストールを試みたことがあります。
 この場合には、最初に、Windows10のプロダクトキーの入力が求められました。しかし、以前のOSのものではNGでした。

 やはり、手順としては、いったん、現状のPCにてアップグレードを行い、その後、プロダクトキーを抽出取得し、さらに、必要があれば、または、最初からクリーンインストールしたいのであれば、作成したDVD-Rと抽出したプロダクトキーを用いて、インストールを行う、というのが良いとおもわれました。

 ただし、無償でアップグレードできる期間は一年あるとのことなので、まだ、しばらくは、様子見でも良いかもしれませんね。

 以上、なんらかのご参考になれば幸いです。

(2015-8-10)