Windows8.1とLinux(Fedora14)のデュアルブートをThinkPad R52で

1. はじめに

 WindowsXPのサポート終了というのが話題になっています。OSを交換しないで、XPをそのまま使い続けていると、セキュリティー上の問題が生じて危険だとのことです。
 私がふだん使っているPC(ThinkPad R52)も、以前書いたノートPCをデュアルブートし、無線LANで使用する方法にしたがって、デュアルブートできるようになっていますが、 そのデュアルブートの片方としてWindowsXPが搭載してあります。この際なので、OSを入れ換えてみようとおもい、WindowsはXPから8.1にしてみようといろいろと調査してみました。そして、OS入れ替えを行なったので、その経緯を記しておくことにします。

2. 現在のPCでWindows8.1が動作するかどうか

 まずは、いま、使っているPCで、Windows8.1が動作するか、という点です。
 調べたところ、PCは、PAE対応でなければならないとのこと。PAEとは、物理アドレス拡張(Physical Address Extention)のことで、 2GBより大きなメモリを扱うときに必要とのことでした。この点は、WindowsXP上で、コンピュータのアイコンからプロパティを 確認すると、物理アドレス拡張と表示があったので、まずはクリアです。
 次に、グラフィックが対応しているか、ということでしたが、これに関しては、よくわからないままでした。 とにかく、やってみるしかない、とおもいました。

3. ハードディスクのフォーマットで問題発生

 と、いうことで、PC専門店にて、Windows8.1の32ビットDSP版を買い求め、ハードディスクに クリアインストールすることとしました。
 現在、ThinkPad R52に搭載されているハードディスクはIDEタイプの2.5インチのハードディスク120GBです。
 このIDEタイプの2.5インチのハードディスク120GBをふたつ準備しました。ひとつは、中古のPCから取り外したもの、 もうひとつはいま使っているPC(ThinkPad R52)に搭載されているものです。
 いま使っているハードディスクは、データなどはそのまま残して、ひとまず、PC本体から取り外しておきました。1ヶ所ねじを外せば、比較的簡単に取り外すことができます。
 もうひとつの中古PCから取り外したハードディスクは、必要なデータを別のストレージにコピーし、バックアップを行ないました。その後、PC(ThinkPad R52)に取り付けを行ないました。
 そして、ツールにて、ハードディスク全体をフォーマットし、パーティションを作成し直す予定でしたが、ここで、 対応できないとの表示がでてしまったのです。
 今回使ったツールは、LifeBoat社のLBパーティションワークスCD起動版2です。

 考えられる原因としては、今回、中古PCから取り外したハードディスクの一部がLVMとよばれる方式でフォーマットされていて、どうも この部分のパーティションをいじることができなかったようなのです。
 LVM(logical volume manager)というのは,複数のハード・ディスクやパーティションにまたがった記憶領域を 一つの論理的なディスクとして扱うことができるディスク管理機能のことです。 以前、使っていた中古PCに、Linuxでパーティションを作成したときに、このLVM形式でハードディスクにパーティションが作成されたことが原因と思われました。

4. OSのインストールとデュアルブートの設定

 そこで、まず、Linuxを最初にインストールすることにしました。Linuxのインストール時には、パーティションの変更など できるはずだからです。
 ThinPad R52はけっこう古いタイプのもので、無線LANのついていないタイプなので、外付けのUSBタイプの 無線LANアダプタ装着が必要でした。これには、US-nano2-Mを使用しました。ただ、この無線LANアダプタをLinux上で動かすためには、LinuxのKernelバージョンに制限があることがわかっているため、今回はFedora14をインストールしました。
 インストール時に、ハードディスクのパーティションは、Windows8.1の領域を残して、LinuxのBoot領域、Linux本体の領域、 swap領域、データ領域をそれぞれ確保し、Fedora14(Linux)をインストールしました。

 次に、Windows8.1のCD-ROMから起動して、Windows8.1用に残したハードディスクの領域に、Windows8.1をインストールしました。
 WIndows8.1のインストール時に注意することは、最初に、プロダクトキーの入力を求められることです。 これがどこに書いてあるのかわからないと、インストールすることができません。また、 入力する文字を一文字でも間違えると、やはりインストールできないのです。 プロダクトキーは、パッケージの外側に、ものすごく小さな文字で印字してあるシールに書いてありました。 本当に、むしめがねを使わないと文字が見えない、読めないくらいの大きさの文字でした。
 ThinkPad R52は、2GBのメモリを搭載してあるのですが、今回のWindows8.1のインストールには50分くらい必要でした。

 さて、その次に、デュアルブートするために、ハードディスクの先頭領域にブートマネジャーをインストールしました。 使ったのはMBM(マルチブートマネジャー、Multi Boot Manager)です。これは比較的簡単に行なうことができました。
 MBMは、あらかじめインターネットのサイトhttp://elm-chan.org/fsw/mbm/mbm.htmlから ブータブルCDのイメージファイルをダウンロードしました。そして、展開し、CD-Rに焼いておき、Linux(Fedora14)およびWindows8.1をインストールした後に、MBMをCD-Rから起動し、ハードディスクにインストールするという手順です。
 これで、デュアルブートは基本的に行える状態になりました。

5. 無線LAN(WiFi)でインターネットへ接続

 次にインターネットへの接続です。
 Windows8.1のほうは、WLANアダプタUS-nano2-Mを自動認識しました。
 Linux(Fedora14)のほうは、チップセットに合わせたドライバーをダウンロードし、インストールする必要がありました。インストールするためには、Kernelのアップデートと、開発モジュールと開発ツールのインストールが必要であり、このときは一時的に有線LANケーブルを接続し、作業を行ないました。
 Kernelのアップデートは、
$ su
# yum update
# exit
 また、開発モジュールと開発ツールのインストールは、
$ su
# yum install kernel-devel
# yum install gcc
# exit
とすればできます。
 WLANアダプタUS-nano2-Mは、Realtek社のチップセットRTL8188CUS/RTL8192CUを用いています。これに適したLinux用のドライバーは 8192C_USB_Linux_driver(kernel_2.6.18‾2.6.35用32bit版)で、
・ドライバー(ソースコード)
・ドキュメント
・WPA用ソフト
が同梱されているものを使用しました。例えば、
http://www.wireless-driver.com/realtek-rtl8188cusrtl8192cu-wireless-linux-driver-ver201212/#down_link
からダウンロードできます。
 ドキュメントに従って、
$ make
$ su
# make install
などと操作を行ない、無線LANのドライバーソフトをインストールすることができました。

6. 必要なアップデートと、必要なソフトのインストールと、データの復元

 さて、いったん、無線LAN経由でインターネット接続ができてしまえば、後は、LANケーブルは不要になります。
 それぞれ、Windows8.1上と、Linux(Fedora14)上で、必要なアップデートと、必要なソフトのインストールを行ない、以前の状態に近いところまで、もっていくことができました。
 この作業前にデータなどはそのまま残してひとまずPC本体から取り外したハードディスクをもう一度、今度は外付けとして接続し、テータはそこからPC本体のハードディスクにコピーを行ないました。

 以上が、PC(ThinkPad R52)をWindows8.1とLinux(Fedora14)のデュアルブート、無線LAN接続にしたときの経緯になります。

7. Windows8.1に入れ替えた後に発生した問題点と当面の対策

 上記のように、WindowsXPをWindows8.1に入れ替えすることは、それほどむずかしくはありませんでした。ただ、Windows8.1にしてみて、ひとつ困ったことは、使えないソフトがでてきてしまったことです。
 WindowsXPでは正常に動作していたスキャナー(Canon FB330P)のソフトが、Windows8.1では動作しなくなりました。 このスキャナーのインターフェースはパラレルインターフェース(ECP)なのですが、もはや、Windows8.1では このインターフェースをサポートしないということなのでしょうか。メーカーのホームページにも、WindowsXPまでのものしか ドライバーソフトがありませんでした。
 いまどき、パラレルインターフェースを持っているPCはないのかもしれませんね.....。
 とりあえず、スキャナーを使う必要があるときには、以前取り外したハードディスクをもう一度、PC本体に挿入し、 つまり、ハードディスクを入れ替えて、WindowsXPを動作させることとしました。もちろん、この場合は、 無線LANアダプタは外して行なうことにします.....。

 実際にやってみると、おもいがけない問題がでてくるものです。LVMの対応、無線LANアダプタのバージョン制限、 Windows8.1にして動かなくなったハードウェア、さて、次はどんな問題がでてくるのでしょうか。

(注意事項)

 本稿は、Windows8.1とLinux(Fedora14)のデュアルブートをThinkPad R52で行なうために実施したOS入れ替え作業を記録したものです。なんらかの参考になれば幸いです。ただし、ここに述べた操作は、筆者の経験をもとに記述したものであり、この記事の内容を適用したことによるいかなる結果にも筆者は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。あくまでもPCの改造は自己責任で行なって下さい。

(2014-4-26)




■ 以前の記事

→ 「デュアルブート」に関する以前の記事は、こちらをごらん下さい。

 ・ノートPCをデュアルブートし、無線LANで使用する方法

 ・U160DXでFedora17とWindows7をデュアルブートで使用するPCの設定について