Huawei P8Lite に Lineage14.1 をインストール
この記事は、スマホのOSを入れ換えて、Android OSのバージョンを6.0から7.1にバージョンアップしたときの作業メモになります。使用したスマホは、Huawei社のP8Lite(2015年製)です。
実は、Huawei社では、P8LiteのOS(Android6)の更新のサポートを2019年の4月に修了していることが判明しました。
そこで、インターネットに公開されている情報を参考にしながら、スマホのOS入れ換えをやってみました。
目標は、機種交換をせずに、ソフトウェアの入れ換えだけで、Android6をどこまで、バージョンアップさせることができるか、そして正常に動作できるかを試すことにありました。
クリアすべきこととして、
・ブートローダーロック解除
・ROM書き換え、ルート化
・Dual SIMを使用可能にする
このあたりのことに留意し進める必要がありました。間違えると、スマホの文鎮化につながります。
とにかく、いろいろ試した結果、OSとしてLineage14.1を使用することによって、Android OSのバージョンを6.0から7.1にバージョンアップさせることができました。
ここでは、その手順をメモとして、残しておきます。
(もしもここに記述されていることを実験する場合は、あくまでも自己責任で実施して下さいね。筆者は、不測の事態が生じたとしても、いかなる責任・義務をも負うことはできません。)
1. ブートローダーロック解除
いろんな方法がインターネット上に出ていました。
Huaweiのホームページにて解除キーを発行してもらうという方法がありましたが、既に2018年の中頃よりこのサービスは停止されているとのことでした。[1]
別の方法では、AndroidのバージョンをAndroid6からAndroid5にダウンさせて、そこでとある操作をしてキーを得てから、また、Andriod6に戻す、という方法もありました。[2]
しかし、この方法はやってみましたが、うまくいきませんでした。
いちばん確実な方法は4ユーロを支払って、DC Unlocker というアプリを用いて、解除キーを入手するというもので、この方法を採用しました。[3]
dc-unlocker2client_1.00.1429.zip をダウンロードしてWindows OS上で展開し、クライアントソフト
(dc-unlocker2client.exe)を実行します。
すると、Window上に次のようなメッセージが出てきます。
in dial pad type *#*#2846579#*#* for Qualcomm and Kirin based models, or *#*#14789632#*#* for MTK, then select
'ProjectMenu',
'Background settings',
'USB ports settings',
'Manufacture mode'.
Step by step guide for other Huawei phone unlock:
https://www.dc-unlocker.com/huawei_phones_detect_unlock_tutorials
要するに、数字キーを操作して、スマートフォンを「Manufactur Mode」にしておきなさい、ということです。
そして、進めると、
DC - Unlocker 2 Client 1.00.1429
Detecting phone :
selection :
manufacturer - Huawei phones
model - Auto detect (recommended)
Found Applications port COM4
Model : Huawei HiSilicon Kirin Android phone
Serial NR. : ARC7N15C08001449
Firmware : ALE-L02 C900B582CUSTC635D001
これは、PCとスマートフォンが接続され、認識されているかどうかを最初にチェックするようです。
次に、このhttps://www.dc-unlocker.comというサイトにアクセスするためのアカウントを作成します。
アカウントを作成したら、このサイトで支払額を確認し支払手続きをします。この場合は4ユーロ(約500円)でした。支払が確認されるとメールでアクセス用のパスワードが送付されてきます。
Check account status
User : xxxxxxxxxx
Credits left : 4
Activated features:
Software debugger
Unlock Huawei HiSilicon Kirin Android phone cost 4 cr
Service text tutorial: https://www.dc-unlocker.com/huawei-android-hisilicon-unlock-guide
次いで、これらのアカウント、パスワードを実行中のクライアントソフト(dc-unlocker2client.exe)に入力していきます。
すると、これらの情報を読み込んで、なにかの演算をするようで、次の表示で終わります。
Reading bootloader code...
Bootloader code : 1234567890123456 ← 解除キー
こうして、解除キー(Bootloader code)を入手しました。
ここで参考にした記事は、「HUAWEI P9 の Bootloader を Unlock する | のい太ろぐ」
[4]です。
2. ROMの書き換え
ここもかなりいろんな情報が錯綜していました。
[5]
[6]
[7]
要は、現状のブートローダーの領域にあるソフトを書き換える必要があるということです。
書き換えること自体は、解除キーを入手しているので、まずこの解除を実行しました。
fastboot oem unlock xxxxxxxxxxxxxxxx
というコマンドを実行します。上記のxxxxxには、さきほど入手した解除コード(16桁)をいれます。
ここまでは、Windows OS 環境下で実行しました。
この後は、Windows、Linuxのどちらでもかまいません。いずれもPlatform-Toolsというものが必要になります。[8]
以下は、Linuxで実施した結果です。
このコマンドがいくつかあるのですが、特に、adbとfastbootを使います。
適当なフォルダ(ディレクトリ)にダウンロードしたものを展開します。
$ cd drivers/platform-tools
$ ls
NOTICE.txt
api
fastboot
mke2fs
sload_f2fs
systrace
TWRP_OpenKirin_3.1.1-0_All_Versions_Huawei_P8Lite_recovery.img
dmtracedump
hprof-conv
mke2fs.conf
source.properties
e2fsdroid
lib64
recovery.img
sqlite3
adb
etc1tool
make_f2fs
現状のブートローダーの領域にあるソフトを書き換えるのですが、このイメージファイルを準備します。[9]
TWRP_OpenKirin_3.1.1-0_All_Versions_Huawei_P8Lite_recovery.img
HuaweiのP8Lite(2015年製)に合ったものを探しました。
これを、スマホのブートローダーの領域に書き込んでいきます。
スマートフォンとPCをUSBケーブルで接続し、adbコマンドで認識されることを確認します。
# adb devices
List of devices attached
ARC7N15C08001449 device
認識されているようです。
一度、再起動します。
# adb reboot bootloader
次に、fastbootコマンドでスマホが認識されていることを確認したら、
# fastboot devices
ARC7N15C08001449 fastboot
イメージファイルを書き込みします。
# fastboot flash recovery TWRP_OpenKirin_3.1.1-0_All_Versions_Huawei_P8Lite_recovery.img
Sending 'recovery' (25152 KB) OKAY [ 0.680s]
Writing 'recovery' OKAY [ 0.706s]
Finished. Total time: 1.386s
終わったら、もう一度、再起動します。
# fastboot reboot
Rebooting
Finished. Total time: 0.174s
これで、TWRPがスマホのブートローダーの領域に書き込まれたので、リカバリモードでスマホを起動させることによって、TWRPが起動します。
この後、OSをここからイントスールします。
さて、ここでうまく書き込みできない、という場合、やり直す必要がありますが、そのときは管理者権限で試してみて下さい。
また、PCと接続されたスマホが認識されない、という場合は、モード(通常起動モードか、リカバリモードか)を確認してみてください。
3.Dual SIMを使用可能にする
OSをインストールする前に、HuaweiのP8Lite(2015年製)はDual SIMが可能な機種なので、
これを使えるようにしておく必要があります。
このためには、b895_update.zip を、Lineage OSのインストール前にインストールしておくことが必要と、インターネット情報にありました。[10]
そこで、いったんこのb895_update [11]をインストールします。
このインストール方法は、スマホの内部メモリかまたはマイクロSDカードのいずれかにdloadというフォルダ(ディレクトリ)を作成し、そこに展開したUPDATE.APPを置き、リカバリモードで再起動させます。
すると、自動でインストールがはじまります。
数分かかるようですが、最後までエラーなくたどりつければ問題ありません。
ただ、機種やこのUpdateのバージョンが適合しないと、エラーになってしまう可能性もあります。
で、一度、通常に再起動させて、問題ないことを確認しておきます。
次に、リカバリモードで再起動させると、さきほどのTWRPが消えています。
ですので、もう一度、前述の方法で、TWRPをインストールしておきます。
4. LineageOSのインストール
リカバリモードで再起動させて、TWRPを起動します。
ここで、準備したLineageOSのインストールを行います。
次のサイト[12]からダウンロードします。
■ Lineage OSのダウンロード
https://sourceforge.net/projects/darkjoker360-developements/files/Huawei/P8%20Lite/Nougat/
いろいろ試したのですが、Googleアプリをインストールする必要があるときは、
lineage-14.1-20191119-UNOFFICIAL-alice.zip
が最も適合しているようです。Androidのバージョンは7.1.2になりました。
このひとつ上のバージョンの
lineage-15.1-20191201-DarkJoker360-alice.zip
は、Android8であり、インストールは問題なかったのですが、
Googleアプリをインストールするためのopen-gappsが動作しませんでした。
5. OpenGapps(ARM64-7.1-pico)のインストール
Google Playを使用したい場合は、OpenGappsのインストールを行います。[13]
The Open GApps Projectのサイトから、Platform-Android-Variantをそれぞれ選択し、ファイルをダウンロードします。
スマートフォンをリカバリモードで起動させ、TWRPをたちあげ、ここからインストールを行います。
6. ルート化
ルート化のツールにはいくつかありますが、ここでは、SuperSU v2.82を使用しました。[14] [15]
SuperSU Downloadのサイト
から、ファイルをダウンロードします。
スマートフォンをリカバリモードで起動させ、TWRPをたちあげ、ここからインストールを行います。
7. 起動しなくなってしまったときに元の状態にもどす方法
スマホ文鎮化は、できる限り避けたいものです。
いろいろ実験をやって、スマホが起動しなくなってしまったときに、元の状態にもどす方法はないかを探しました。
Huawei社のP8Lite(2015年製)はALE-L02という機種名で、国内向けには、ALE-L02C635B582が最新のようでした。
工場出荷状態に戻すのに、このイメージファイルを次のサイト[16]から入手しました。
■ ALE-L02C635B582のイメージファイル
上記の3項と同じように、スマホの内部メモリかまたはマイクロSDカードのいずれかにdloadというフォルダ(ディレクトリ)を作成し、そこに入手したイメージファイルを展開したUPDATE.APPを置き、リカバリモードで再起動させます。すると、自動でインストールがはじまります。
時間は少しかかりますが、最後までエラーなくたどりつければ工場出荷状態が再現されます。
8. まとめ
本稿では、
・スマホのブートローダーロック解除
・ROM書き換え
・Platform-Toolsの導入
・TWRP(Team Win Recovery Project)でのブートイメージファイル置き換え
・Dual SIM のためのおまじない
・ルート化
・Android version どこまで可能か
・OSは Lineage 14.1 に落ち着く
と、いろいろ試した結果を記述しました。ご参考になれば幸いです。
このような実験は、間違えるとスマホ文鎮化に直結するので、理解できない場合は、実験しないほうが良いかもしれません。
が、もし実験するときには、いうまでもありませんが、あくまでも自己責任で実施して下さいね。
筆者は、不測の事態が生じたとしても、いかなる責任・義務をも負うことはできません。
(2020-1-7)
References
[1] HUAWEI Community|unlock bootloader
https://consumer.huawei.com/en/community/details/unlock-bootloader/topicId_5270/
[2] [GUIDE] Unlock bootloader, root the device and install any custom ROM! (ALE-L23/21)
https://forum.xda-developers.com/p8lite/general/guide-unlock-bootloader-root-device-t3977067
[3] DC-unlocker client download
https://www.dc-unlocker.com/downloads/DC_unlocker_software
[4] HUAWEI P9 の Bootloader を Unlock する | のい太ろぐ
https://noitalog.tokyo/huawei-p9-bootloader-unlock/
[5] Huawei P8lite をroot化 [ALE-L02] (5.0.1 Lollipop)なんでも備忘録
http://bikkuri-box.blogspot.com/2016/02/huaweip8lite-rootale-l02-501-lollipop.html
[6] Huawei P8lite TWRP導入 [ALE-L02] (5.0.1 Lollipop)なんでも備忘録
http://bikkuri-box.blogspot.com/
[7] Huawei P8 Lite ALE-L02にLineage OS 13.0をインストールする Beyond The Horizon
https://labs.hottuna.tk/2017/10/huawei-p8-lite-ale-l02%E3%81%ABlineage-os-13-0%E3%82%92%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%99%E3%82%8B/
[8] SDK Platform-Tools リリースノート
https://developer.android.com/studio/releases/platform-tools?hl=ja
[9] TWRP_OpenKirin_3.1.1-0_All_Versions_Huawei_P8Lite_recovery.imgファイル
https://forum.xda-developers.com/p8lite/orig-development/twrp-t3583180
[10]
Huawei P8 Lite ALE-L02にLineage OS 13.0をインストールする Beyond The Horizon
https://labs.hottuna.tk/2017/10/huawei-p8-lite-ale-l02%E3%81%ABlineage-os-13-0%E3%82%92%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%99%E3%82%8B/
[11] Stock EMUI 4.1 B895/B896
https://forum.xda-developers.com/showpost.php?p=73230358&postcount=2
または
https://androidfilehost.com/?fid=961840155545586099
[12] Lineage OSのダウンロード
https://sourceforge.net/projects/darkjoker360-developements/files/Huawei/P8%20Lite/Nougat/
[13] The Open GApps Projectのサイト
https://opengapps.org/
[14] SuperSU Downloadのサイト
https://download.chainfire.eu/1220/SuperSU/SR5-SuperSU-v2.82-SR5-20171001224502.zip
[15] SuperSUをインストールして、Android端末をroot化する方法
https://pochiri.net/supersu
[16] ALE-L02C635B582のイメージファイル
https://pro-teammt.ru/online-firmware-database-ru/?firmware_model=ALE-L02&firmware_page=0
■ 以前の記事
→ 「タブレット・スマートフォン」に関する以前の記事は、こちらをごらん下さい。
・Dospara Tablet に CyanogenMod を導入する